北に移動したグループの中に、クル病を克服した者がいました。クル病は弱い紫外線の下で、骨が弱く脆くなり、変形したりもする病気。
熱帯のアフリカで強い紫外線から身を守るために、メラニン色素を皮膚に集め順応した黒い猿人は、紫外線が弱まる森の奥や高緯度地方ではクル病に苦しめられました。
また、寒い季節には凍え死ないように、多くの毛皮や草を身に纏うことも紫外線不足の一因でした。 皮膚のメラニンを減らし、白人化することでクル病を克服したネアンデルタール人は大きな勢力を持ち、長い間繁栄します。

しかし家族中心の小さなグループで生活することを好み、集団を大きくすることはありませんでした。カニバリズムの痕跡も発見されていることから、他の家族との交流を嫌う性格が強かったようです。
ネアンデルタールは様々な工夫・発明もしましたが、小さな家族のグループ内だけの利用に止まり、継承したり世代を超えて改良されることがありません。
20万年前に生まれたホモ・サピエンスは、ネアンデルタールと4万年前まで共存する期間があり、交雑もしたようです。
アフリカの黒人を除く、現在の人類のほとんどに、4%ネアンデルタール人に由来するDNAが見られるそうです。

氷河期を生き抜くためには、火の利用が欠かせません。
安全で暖かい夜を得た上に、焼くことで食べられる物が格段に増えます。 肉や魚は新鮮な場合は生で食えても、日がたてば火であぶることで雑菌を除く必要があり、野生の木の実、木の芽、雑草、イモ類も火を通すことで消化しやすくなります。
また、大型動物の狩には集団で取り掛かる必要があり、危険の通知、獲物の発見をグループに伝える為に、話す機能を持ちました。

Ⅱ.食料確保へ