ホモサピエンスは歩き、集団を形成、様々な工夫・発明を複数の家族間で共有し、前の時代の道具や産物に手を加え使いやすいモノに改良した。
また、他の集団とモノや技術を交換することもあった。
一方、ネアンデルタール人の共同生活単位は小さく、折角の発明や改良も受け継がれることがほとんど無かった。

食べる

獣にとって人間は木の実や果実、おとなしい動物、魚などの貴重な食物を奪い合う嫌な存在だ。
大きな集団を維持するために、ホモサピエンスは貪欲に食物を求め、更に獲物が必要になり、ある種類の大型の獲物を果てしなく追っていく集団も現れた。

狩る

3万年から2万5000年前、人間はマンモス、トナカイ、野牛などの草食性動物を追ってツンドラ、森林地域に入り込み木・骨・石・革・筋を工夫し斧・槍・弓等の狩の道具を作り、複数の人間の共同作戦で獲物を勝ち取った。
また、骨で縫い針や釣り針を作った。
毛皮、枯れた草を束ねた覆いモノを纏い、木の枝、棘から身を守り、2万年前の氷河期最盛期にも、毛皮を加工して、服や靴を作り厳しい寒さをしのいだ。
この毛皮の衣類を得た集団が、が凍りついて陸続きだったユーラシア大陸からアメリカ大陸に獲物を求め渡った。トドや熊も大事な獲物だった。
ベーリング海峡は約1万年数千年前に氷が溶けて海面が上昇、再び海峡となり両大陸は再び分断された。
20万年の時間をかけて、ホモサピエンスは獲物をひたすら追って移動世界の至る所に足跡をつけた。
高度な航海技術が無くしてはベーリング海峡を渡れなくなり、アメリカでは独自の歴史を作られて行く。

定住化

初期の農業

移動するグループも、グループ内の病人や豊富な食物が有るなどの理由で、自分と家族、親族の小集団が1年中食べられる範囲をテリトリーとして、定住し暮らした。
数百年前まで、動物の狩り、魚や貝、木の実や種、イモなどの自然の食物を食して数万年間同じよう暮らすグループがあちこちに存在していた。
また、やせ地で焼き畑農業などを行う集団は今も見ることが出来る。
木の皮を剥ぎ、腐らせて倒し、畑を作る。2度ほど収穫すると土地がやせるので焼き払い、灰の栄養でもう一度収穫し、別の地に移った。

初期の牧畜

大人しい羊やヤギを飼いならし家畜として、ミルク、チーズ、肉として食べ、毛皮を利用した。
その地の草が食べつくされると、豊富な草を求めて移動した。
四季の変化を理解し、適切なルートをたどって移動した。
狼やネコ科の猛獣や人間の盗賊から、昼も夜も家畜を守る技術が求められた。

大きな集団

集団が結びついて、千人以上の大きな集団で暮した街の跡が遺跡として発掘されている。
牧畜の民の肉、乳製品、毛皮、革袋と農業や漁業の民の穀物や野菜、魚を交換する市場が必要で、栄えた。
また、山で採れる青銅や貴金属などの鉱物資源や塩やアスファルトも重要な交易品だった。
狩や釣り、農耕等の様々な技術と必要な道具が、グループ内で共有され、引き継がれ続けた結果、様々な技術や道具は改良され、洗練された。
石器は砕くだけでなく、磨いて使いやすくした。黒曜石(天然硝子:マグマの一部が急冷して出来る)を探して鋭利な刃を得て、矢じりやナイフ、槍先として使用された。
水や食物、種を蓄える為に、粘土細工から陶器が発明された。
弓矢、矢じりの改良、毒矢など狩猟用具が改良された。
針が発明され、毛皮の衣服、靴が改良された。
釣り針や丸木舟が発明され漁が行われた。
車輪が発明された。

集団が大きくなるには

○食料の安定確保
○煮炊きや暖房のための燃料の安定確保
○各血族グループ間の諸問題の調整
○他の集団との食料、燃料、鉱石などの取り合い
○戦いの武器と戦術の進化、専門家の出現
○不可抗力を示す神様の存在
*神と通じる者に頼る、農業に必要な暦を司る
○グループの結束を示す音楽、技術や歴史、神様などを伝え合いグループ内で共有した。

独自の発展を示したアメリカ大陸でも、時代はずっと後になるが、大きな神殿が作られたように、神の意志を代弁する神官もしくは王に権力が集中し、大勢の労働者を動員して建設している。