Ⅲ.神の誕生 既に見てきたように、収率の良い農業には正確な暦が必要であり、突然の嵐や洪水も事前に知って被害を少なくする事が重要だった。
また、氾濫への備えとしての堤防や、川筋の変更、上下水設備特に清潔な上水の確保、荒れ地や湿地を灌漑して農地化、農業及び飲料用のため池の掘削、及び暦を読専門家用の道具、執務場所としてのしっかりした天文台が設けられた。
いずれも、一時に多くの労働者一定期間集めて、従事する必要があった。
映画や物語では、奴隷が集められ、無理やり働かせられていたので、子供のころから奴隷にはなりたくないと思っていた。
しかし、数千人の奴隷を集め、収容し、食べさせる。奴隷を見張る兵士を食べさせ収容する様な、湯屋かな食料確保は不可能だったのではないか。
後年、圧倒的な武力、財力を誇る部族が奴隷を確保したのは事実だが、その昔に忽然と豊かな部族が誕生したとは思えない。
むしろ、農民が進んで大規模な工事に協力したと考える。農民は穀物は整地、水やり、種まき、刈り取り等の集中作業を除くと相当な空き時間がある。
粗末な居住地に家族分の食料と翌年分の種をネズミや外敵に盗まれずに保管できたとは考えにくい。
収穫したものほとんどを神殿に納め厳重に保管し、神の命による土木工事などの使役の際の対価として、給与されたのではないか。
使役管理として、帳簿が作成され、それぞれ農民の固有名詞を書くために表音文字もはつめいされた。
しかし後年、遊牧民の中から優れた武器と戦術で農民が築き上げた都市を襲う部族が現れる。

Ⅲ.神の誕生

人の歴史目次